相続放棄の理由・動機に関するQ&A
相続放棄の理由・動機に関するQ&A
Q相続放棄の理由は何でもよいのですか?
A
相続放棄をする理由・動機は、限定されていません。
しかし、相続放棄の申述をすると裁判官による審査が行われますので、合理性を示すため、および不自然な部分がないことを示すため(相続放棄を強要されていないかなど)、相続放棄申述書に理由を付すことがほとんどです。
相続放棄の典型な理由としては、被相続人の債務超過、財産・負債を特定の相続人に集中させる、生前に充分な贈与を受けている等が挙げられます。
もちろんこれ以外の理由であっても、社会通念上合理的なものであれば通常は認められます。
Q家族と疎遠で相続に関わりたくないという理由でも相続放棄はできますか?
A
結論から申し上げますと、相続に関わりたくないという理由でも相続放棄は通常認められます。
よく見られるケースとしては、次のようなものがあります。
まず、相続人の親が数十年前に離婚し、それ以来片方の親とは没交渉になっていたというケースです。
長年没交渉であった人物と関りを持つことに抵抗を感じられる方は少なくありません。
また、没交渉になっていた親が再婚していた場合などは、再婚先の家庭と相続について話し合いをすることになります。
類型的に見ても、前配偶者の子と現在の配偶者及び子という組み合わせは相続において争いに発展しやすいものでもあり、相続人としても新たな家庭に踏み込みこんで迷惑をかけたくないという心理が働くこともあります。
そのため、相続放棄をして、相続関係から外れるという選択を取ることは合理的なものと考えられます。
その他にも、何らかの事情で両親や兄弟等と関係が悪くなってしまい、地元を離れて生活をし、長い間連絡も断っていたところ、親が亡くなった知らせが届いたというケースがあります。
このような場合、仮に遺産分割協議を行うとなると、家族とのシビアなコミュニケーションを避けて通ることはできません。
場合によっては調停を提起されるなど、ほぼ強制的に接触を持たなければならなくなることもあります。
そもそも家族と関わらないために遠隔地に住んで連絡を絶っていたのですから、これを避けるために相続放棄をすることは、一つの合理的な選択といえます。