被相続人の生前に相続放棄をしておくことはできるか

文責:所長 弁護士 伊藤貴陽

最終更新日:2024年04月12日

1 相続放棄の申述権者は相続人

 相続放棄は、亡くなった方の「相続人」が、「相続の開始を知った日から3か月以内」に行う手続きです。

 そして、相続は被相続人の死亡によって開始されます。

 そのため、結論から申し上げますと、被相続人の生前に相続放棄をすることはできないことになります。

 裁判所が提供している相続放棄申述書のフォーマットにも、被相続人の死亡日を記入する欄が元々用意されています。

参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述書(成人)

 少し方向性の違う話になりますが、相続人が子である場合、後順位相続人であるおや兄弟姉妹は、子が相続放棄をするまでは相続人にはならないため、ただちに相続放棄をするということはできません。

 また、混同しやすいものとして、遺留分の放棄という制度があります。

 遺留分の放棄は生前に行うことができますが、相続をすることが前提となりますので、相続放棄とは全く別の手続きになります。

2 生前から準備できることはある

 相続放棄は、行うことができる期間がとても短い手続きです。

 また、法定単純承認事由という、相続放棄が認められなくなってしまう行為も存在します。

 そのため、被相続人がお亡くなりなられたら、法定単純承認事由に該当する行為を回避しつつ、迅速に相続放棄ができるようにするための準備をしておくことは効果的です。

 主なものとして、次のような方法があります。

 被相続人の所有物は、できるかぎり生前に処分しておきましょう。

 死亡後になると、物によっては処分すると法定単純承認事由に該当してしまいかねず、ずっと処分することができないという事態に陥る可能性があります。

 特に大型の家具や自動車などは注意が必要です。

 被相続人の契約、特に賃貸借契約や電気、ガス、水道の契約がある場合で、同居親族がいる場合には、生前に同居親族に契約を切り替えておきましょう。

 被相続人の債務に関する情報は、生前に教えてもらえるものがあれば、教えてもらいましょう。

 相続放棄が完了した後に連絡をすることで、今後請求されなくなります。

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